【★中小企業は知的財産権とどう向き合うべきか。】

-意匠にも目を向けよう!-

1.はじめに

 日本は、バブル崩壊以降、失われた20年と言われるほどの低迷を続けてきたが、日本には今もなお世界トップクラスと言われている科学技術、クールジャパンと称される日本文化、アニメ等の知的財産がある。これらを活用することによって、我が国産業のイノベーションは可能であると思う。そして日本再興のためには、とりわけ日本国企業の99%以上を占め、また全従業員数の70%以上を占める中小企業420万社の活性化がそのキーとなると思われる。中小企業の活性化無くして、我が国産業の再興はあり得ないと考えるからである。

2.中小企業と知的財産権

-中小企業は知財とどう向き合うべきか-

■企業に求められるものは継続的な成長。継続性があるから信用が生まれ取引が続けられる。

■将来における企業の成長性や安定性を考えた場合、特許を含めた知的財産(知財)を活用することが唯一無二の方法ではない。

■売れるモノ創りがまずは重要。それを市場に出すことで継続的な成長を図ることが大事。(←継続性を図るために利益を上げる必要あり。)
→○顧客のニーズ(需要にあった製品を創る)、○品質、○価格。
○知財の活用も重要知財で保護しないと模倣への対処が難しい。

◆知財活用のメリット

  • 独占実施模倣排除他社の参入規制
  • 実施権の設定→実施料の取得
  • クロスライセンス→実施の確保
  • 親会社等取引会社の取引打ち切り防止!
    (親会社等に対する交渉力の強化)

経済活動を行う上で、「知財」は大きな武器となる。

◆知財活用の注意点

  • 一年半で公開される(公開の代償として独占権)→模倣の危険。
  • 独占権は出願から20年(→技術陳腐化→産業の発達を阻害)。
    →生産技術の秘密化、ノウハウ保護の問題。
  • 特許権の効力は取得した国にしか及ばない。

中小企業に立ちはだかる障害、特殊性。

  • 人材不足(知財は難しい→知識を持つ人間がいない)
    最低1人の知財の専属をつけることを提案する。
    →弁理士の活用。日本弁理士会の無料相談、特許庁の知財総合支援窓口など。
  • 資金不足(知財は高すぎる)
    →各種の支援あり。特許庁、日本弁理士会、経産局など。
  • 認識不足(会社トップやスタッフの認識・関心が薄い)
  • 力不足(親会社等取引会社に対する交渉力不足)
    →このような障害をどう克服するかがカギ。

3.中小企業の形態による知財と向き合う視点

(A)中小企業の事業形態

  規模の大小を問わず、特許権等の知的財産権を取得する努力は、自社の収益向上、企業価値の向上に向けたものであり、それによって企業の継続的な成長を図る一助としなければならない。

中小企業の事業形態:複数もあり得る)

 不特定多数の消費者に販売される製品の製造販売。→日用品、雑貨、スポーツ用品、家具、家電製品、自動車等。

◆② 不特定多数の企業に販売される製品の製造販売。→モータ、シリンダ、ファン、洗浄装置、攪拌装置、搬送装置等。

◆③ 長年の取引会社など特定の企業に販売される製品の製造販売。→攪拌装置、搬送装置、受変電設備等の機械器具等。

④特定の企業の発注を受けて部品等を加工し納品する下請け企業→自動車メーカーへの部品の下請けなど。

 *こうした事業形態を認識した上での対策が必要。

(B)知財と向き合う視点

(B-1)他社の参入を規制するとの視点

 の不特定多数の消費者への販売形態に対しては、特許とともにデザインも需要拡大には大きな要素を占める

 したがって、特許製品はデザイン的にも優れた物でなければならず、それが売り上げに大きく影響する。そして、模倣防止のために、特許権、意匠権の取得を考慮すべき。同じ製品に対して、発明という観点から特許権を、また意匠という観点から意匠権をとることができる。

 これぞという製品については双方の権利をとるべきである。模倣は形を真似ることから起こる。意匠も大事である。

  ②の不特定多数企業への販売形態に対しては、特許もさることながら、デザインの要素も大きくなってきた

 特に、消費者の目に触れる物の製造販売を行う場合には、機能のみでなくデザインの要素も大きくなってきた。

  例えば、回転寿司の装置や冷蔵用ショーケースなどはそれ自体、消費者に売るわけではないが、店舗に設置した場合の消費者に与える印象は大きく、好印象を与える売り場作りには洗練されたデザインが欠かせない。店舗の売り上げをも左右しかねない。

  この①と②の不特定多数の消費者や企業相手の中小企業にとって、知財をとる意味は、独占実施による他社の参入規制という点にあるこれは競合他社から優位に立つことを意味する。したがって、大企業と、人・金・情報の不足を除けば対等の関係であるから、そのつもりで知財を活用すればよい。この場合、特許だけでなく、意匠の活用も大事である。部分意匠と関連意匠を上手く活用すれば、強い意匠権を実現できる。取得した知的財産権は、大企業と対等に渡り合うための武器となる。 オンリーワンを維持するための武器となる。

→○特許だけでなく、ノウハウとしての保護も考える。 秘密を保持できる技術は開示せず、ノウハウとして秘密を保つ道もある。製造方法の発明などは、ノウハウとして秘密管理をしっかりすることで長く独占できる。特に、出来上がった製品を見ただけでは、製造方法が分からないような技術は、その方法を開示せずにノウハウとして保護した方がよいかも知れない。特許を取っても開示によって模倣の危険性が高まるとともに、製造方法の発明は真似されても発見しにくいという難点があるからである。

→○周辺技術も権利化することで、強い特許権を目指す。

→○意匠や商標も活用する。→①②の中小企業は、これら知財の取得とノウハウのバランスによって、他社の参入を規制して独占実施を図り、収益を上げる。

(B-2)取引企業に対する交渉力強化の視点

(打ち切り防止の視点)

  ところが、③④の特定企業相手や下請形態の中小企業は、人・金・情報不足は言うまでもなく、「親企業」との力関係もはなはだしい。注文を採るには品質と値段が勝負のようなところがある。しかし、これではいつまで経っても親会社等特定企業との取引(下請け)を続けなければならない。

否、それ以上に、もっと安く品質のよい下請け業者が出てきた場合には、何時取引(発注)がストップされるか分からない。それを防止するにはさらなる値下げ交渉に応じ、安く納品するほかない。これでは経営的に不安定である。大企業は何時取引を打ち切るか分からないその打ち切り防止には知財が活用できる

 つまり、これらの下請け企業等にあって、知財を取る意味は、親企業」の取引打ち切り防止や、「親企業」への交渉力の強化にある。特許権の取得は、「親会社」による同業他社への発注を防止し、適正な利益率を確保する中で、「収益の向上」に結びつける一手段である。

→○下請け等特定企業相手の中小企業において、知財取得の視点は、いかなる技術についての知財が親会社との「交渉力の強化」や「取引打ち切り阻止」に貢献出来るか、ということである。

→○そう言う視点からすれば、決して画期的な特許を考える必要はないまずは、上記の趣旨に添って、身近なところからよいアイデアを創造し、企業価値の向上に活かしていただきたい。そして、これら特定企業相手の中小企業も下請け企業も、今の技術をベースに新しい用途・分野の製品を開発し、また新しいユーザを開拓して、将来的にはオンリーワン企業を目指していただきたい。

4.中小企業の意匠戦略・デザイン戦略

A.意匠にも目を向けよう!

 模倣防止に意匠を活用しよう。模倣はまず、外観から起こる。

 2012年度の統計である「特許庁 2013年度模倣被害調査報告書」によれば、4,323社中944社が模倣被害を受けている(21.8%)。日本企業が模倣を受けた国・地域は、中国67.8%、台湾21.3%、韓国21.1%、アセアン6カ国20.2%、欧州14.8%、北米13.5%と続く。  

 中国国内で製造された模倣品・サービスが世界各国に流通している。

 商品分野別では、「雑貨」が増加(44.6%)、「食品」も増加(17.9%)。「一般機械・産業機械は減少(23.25%)、電子・電気機器も減少(23.15%)。結局、幅広い分野で模倣が起きている!

 商標59.4%、意匠38.3%。特許・実案33.3%、著作物16.8%(複数回答

 製造、経由、販売・消費のいずれかの被害を受けた国・地域別の被害企業の比率をみると、中国での被害が最も大きく(2012年度:67.8%)、次いで韓国(同22.8%)、台湾(同22.0%)、アセアン6カ国(19.1%)と続き、アジア地域での模倣被害が引き続き中心を占めている。地域別では欧州(同16.7%)、北米(同14.5%)が、アジアに次いで被害多発地帯(複数回答)。

B.意匠戦略の前提として意匠について知っておくべきこと

 デザイン戦略・意匠戦略に入る前に、知っておくべきことについて述べる。

(1) 消費者向け商品は、機能面の優秀さもさることながら、デザインの善し悪しが売れ行きに大きく影響する。

(自動車、家電製品、洋服、食器、家具、おもちゃ、カメラ、運動靴など)

(2) 企業向け商品であっても、最終消費者の目に触れる製品は、そのデザインの善し悪しで店舗イメージ等も変わり陳列商品自体の売れ行きにも影響を与える。

(食品陳列用冷凍・冷蔵ショーケース、回転寿司の搬送機、配電盤など)

(3)特許権の外に、意匠権の取得も考える。

 一つの対象(製品)について、特許権と意匠権の双方で保護できる。

(4)特許性が低いと思われる場合には、意匠登録による保護を考える。

(5)意匠権の効力は、登録意匠及びこれに類似する意匠に及ぶ。

(6)部分意匠は、その部分を真似されたら侵害だと言える。

(7)存続期間は登録後20年

( H18年改正→ H19(2007).4.1の出願より)

(8)「完成品」、「部品」、「これらの部分」も、意匠登録の対象となる。

(9)部分意匠の後出しOK(先願「完成品」意匠の公報発行前日まで出願可)(H18年改正→H19.4.1の出願より:意3条の2)

(10)関連意匠の後出しOK(先願「本意匠」の公報発行前日まで出願可)(H18年改正→H19.4.1の出願より:意3条の2)

(11)意匠出願の方が審査が早いし、値段も安い。→特許権成立までのブランクを埋めることが可能。

(12)部分意匠や関連意匠制度をうまく活用して強い権利を目指そう。

C.部分意匠とは

(1) 部分意匠とは、物品の部分の形状、模様等であって視覚を通じて美感を起こさせるもの(意匠の定義中「物品」の概念「部分も含む」ことを明記)。

 但し、組物の意匠は、全体の組み合わせの美感に保護価値があるとの考えの下、部分意匠の対象とはしない(意匠2条1項)。

(2) 部分意匠の意匠権の効力は、同一又は類似する物品に関する意匠の一部が当該部分意匠と同一又は類似するものに及ぶ。つまり、部分さえ似ていたら、侵害だと言える

(3) 平成19年3月までは、先願意匠の一部と同一又は類似する後願の部分意匠は、意匠法第3条の2の規定により登録を受けることができなかった。

 しかし、H18年改正法により、先願意匠の一部と同一又は類似の後願意匠であっても、先願意匠の意匠公報の発行の前日までに同一人により出願された場合には、意匠登録を受けられることになった(H19年4月1日の出願より適用) 。

D.関連意匠とは

(1)  関連意匠制度とは、類似する意匠同一人により出願された場合に、主従関係を設けて登録し、独自の効力を与えて保護する制度(意10条1項) 。部分意匠の関連意匠もあり得る

(2)  関連意匠は、H19年4月1日の出願より、本意匠の公報発行日の前日までに出願すれば登録が認められることとなった。

(3)  関連意匠の出願手続、手数料、登録料等は、通常の意匠登録出願と同じ。主従関係は便宜的なもので、審査における類似情報の提供を行うに過ぎない。関連意匠にのみ類似する意匠の登録は認められない (意10条2項)。

(4) 関連意匠の存続期間は、本意匠の存続期間と同一(意21条2項)。但し、存続期間満了以外の理由で本意匠の意匠権が消滅しても、関連意匠の意匠権は存続する。

E.意匠権の効力・類似範囲について

 意匠権の効力は、登録意匠の他、これに類似する意匠に及ぶ(意23条)。したがって、「類似の範囲にあらためて、関連意匠の出願をして登録する意味があるのか?」という疑問がわくはず

 しかし、この類似の範囲というのは、概念的には確定しているはずだが、実際にはよく分からない。公知意匠や他の登録意匠との相対関係で決まるものだから。故に、その存在によっては、拡がったり、狭まったりするように見える。

 意匠を一つ登録しただけでは、実際に何処まで効力範囲(類似の範囲)なのか分かりにくい。

 1個の登録だけだと、その登録意匠の類似範囲は、他人の後願登録意匠によって狭められる可能性がある。

 逆に言えば、本意匠の類似範囲に、関連意匠をうまく出願することによって類似の範囲の浸食を防ぐことができるとともに、うまく活用することによって類似の範囲を効果的に拡大することもできる。特に、関連意匠にも独自の効力を持たせたことにより、独占権として保護される意匠の幅を拡げることができる。

F.部分意匠と関連意匠の活用で強い意匠権を!

(強い権利確保のために実務上検討すべき点)

(1)ある製品の意匠を完成したら、

   その製品の意匠(本意匠)出願とともに、その関連意匠の出願も考える。

   →○出願の時期は、本意匠の公報発行前日まで。

   →○いくつかのバリエーションを考える。

(2)製品の部分に特徴があるとしたら、その部分を部分意匠として出願する。

   →○その部分のバリエーションも、部分の関連意匠として出願することを考える。

                  ↑  ↑ 

 ※これが、部分意匠と関連意匠を出願して類似範囲を広げるコツ!

具体的には、どういうものを関連意匠として出願すべきか?
↓↓↓
関連意匠として出願すべきものは?

 ★まず、市場に投入する製品は関連意匠の出願をしておく。

   →模倣は市場に出回っている商品に対して起きる。

   →関連意匠を出願しておくと模倣の対処がしやすい。

    水際取締りなど。

 ★②次に、本意匠のもつ類似範囲の外縁のものをいくつか出願しておく。

              

  これが、関連意匠を出願して、類似範囲を広げるコツだが、少しテクニックが必要。

.同一人が類似の範囲の意匠を出願する場合の注意

 どれを本意匠とするかにより、関連意匠の登録が決まる。たとえば、意匠が複数あるとしたら、どの意匠とも類似していると思われる意匠を本意匠とし、他を関連意匠とする。本意匠と類似していないと関連意匠と類似していても関連意匠の登録は出来ない。本意匠としても登録は無理である。

.現場の声(意匠)知財で元気な企業2007より抜粋
○広島化成株式会社(広島県)(社員400名)

~知財の幅広い取得により付加価値を高める~

 -履物、工業用ゴム製品、合成樹脂シート・202頁

 従来、自社製品の保護については、特許権、実用新案権を中心に行ってきたが、模倣品被害が増加したことから意匠権の活用を模索するに至った。意匠権の取得により、とりわけ一般消費者の手に渡る履物については、自社の優位性を確保することができると考えている。

 併せて、商標についても様々な製品を国内外へ販売するために必要不可欠との考えから、特許権、意匠権と並んで権利化に力を注いでいる。特に履物に関しては、製品に対する信頼を築くべく同一商標を長年使用する一方、時代の感性にそぐわないものについては暫時、放棄する等柔軟な姿勢で臨んでいる。

  ○山本光学株式会社(大阪府)(社員226名)

~技術力とデザイン力を武器にブランド戦略を推進~

 -スポーツ用品、サングラス、スポーツゴーグル等・202

 デザインが重視されるスポーツ用品分野では、特許以外に意匠・商標は類似商品の排除とブランドイメージの向上に有効であることから、ライセンス契約による収入があまり得られなくても、営業面での寄与は大きいものがあると考えている。

 特許出願・権利化は商品の販売に必要なだけでなく、高い収益を確保し、商品開発までの開発費用・設備投資等のコスト回収を長期的に安定化させるためにも重要であると考えている。基本的に同社では特許出願・権利化できる商品の開発を行うことを目指している。

 特許は同社の経営戦略上、重要な項目である。そのため、経営トップの直属で管理部内に特許法務課を置き、特許管理を行っている。約20年前に大企業のOBを迎え入れ、その担当者の指導の下に、特許管理と人材育成を進めてきた。

 また、複数の特許事務所を使い分けながら、海外出願も積極的に行っている。 

  ○北海鋼機株式会社(北海道)(社員171名)

~初期段階から知財の取得を想定~

   -鋼板製品、線材二次製品、建材加工製品・24頁

 同業界は公知技術と呼ばれるものが多く、あまり特許というものを意識しないできたが、新商品開発に当たって他社との差別化を図る意味からも、特許等を積極的に活用しようという方向に転換し、平成3年には「社員発明考案取扱規程」を制定し、研究開発に取り組んでいる。

 特許は勿論、形に特徴あるものは意匠権も取得している。

…顧客のニーズを吸い上げて行う新商品の開発の初期段階から特許・意匠権の取得を想定して研究開発を行っている。…

 特許・意匠については、ライセンサーとなって活用に努め、実際に実施料を得ている。…意匠については、…出願しなかったデザインを他社に取られたため、デザイン変更を余儀なくされた結果、売り上げにつながらなかった轍を踏まないよう積極的に出願している。

○株式会社ナカムラ(兵庫県)(社員36名)

~意匠権を積極的に取得し、デザインによる差別化を図る~

 -非常開放面格子、 スライド格子、目隠し汎用パネル・144頁

 同社では、新製品の開発に際して、意匠権を積極的に取得しており、現在150件以上の権利を取得してデザイン面での製品差別化を図っている。また、新製品の核となる部分については特許でも保護している。

 なお、特許に触れない類似品には寛容に対応している。それは、類似品の存在が、商品の市場そのものを広めるために、トップメーカーである同社としては、売上げに寄与することとなっているためである。また、他社が同社の商品を研究している間に、同社としては更に新たな製品を開発しようという開発担当者のモチベーションの維持にもつながり、新製品開発の好循環をもたらしている。

○株式会社カネミツ(兵庫県)(社員227名)

 ~特許に加え、部分意匠をフル活用~ -自動車用プーリ・132頁

 知財の創造については、自社・他社の関連技術情報をすべて把握した上で、製品・製造設備の開発を約20名の研究開発者で推進。発明提案については、まず開発者と知財担当で検討を重ね、続いて、事業内容を熟知した長年付き合いのある弁理士事務所との連携で明細書のブラシュアップを図り出願している。

 さらに、部分意匠制度が導入されてからは、制度をフルに活用し、技術力のみならずデザイン面においても他社製品との徹底的な差異化を図っている。

 海外へは、米国、欧州、韓国、中国、タイ等に出願。顧客の海外進出に対応すべくタイに工場を造ったが、海外に進出したことにより、改めて知財管理の重要性について再認識し、知財の専門担当を置き、知財管理及び弁理士事務所の連携等を強化している。同社の技術には加工するときのノウハウも多く含まれており、特許+徹底した品質管理+ノウハウにより模倣を防いでいる

○株式会社小島製作所(愛知県)(社員56名)

~排水システムのパイオニア~

 -菅継手等・98頁

 製品の形状については意匠登録で押さえており、一時は特許出願より意匠出願が多かった。特許出願のための書類の作成に時間を掛けるより、意匠出願により早く権利化したかったからである。しかし、意匠登録では権利が弱く、他社の後発製品から防衛できなかった。これが教訓となった現在では、特許に重点を置いて出願している。

 管継手業界も、…今や大手企業が参入しているほどの市場規模に拡大した。そんな中で、…ハード面に加え、ソフト面を重視している。自社製品が採用された現場の施工図面のチェックや負荷流量の算定など、ソフト面を充実させている。そうすることによって、模倣品との混同防止にも繋がっている。

 → ※小川コメント:「意匠登録では権利が弱く、他社の後発製品から防衛でき

なかった。」との認識だが、部分意匠と関連意匠を戦略的に活用したか? 疑問が残る。登録意匠は 共願の6件しか存在しない(「菅継手」の意匠)。

○福山ゴム工業株式会社(広島)(社員190名)

~侵害対策に意匠権を活用~

 -工業用ゴム製品・204頁

 同社の工業用ゴム製品の売上げは全体の7割程度を占め、さらにそのうちの7割がゴムクローラをはじめとする建設機械関連製品であり、ゴムクローラの特許は経営の根幹を支えていると言っても過言ではなく、大手メーカーが存在する中で生き残れたのは知的財産権のおかげだと考えている。

 このような背景から、特許などの知的財産権については、たとえ費用がかかっても必要なものはできる限り取得するよう努力している。知的財産権を持つことにより、自社製品・技術の差別化を行い、他社の模倣品や類似製品によって、製品市場が侵食されるのを防ぐことができる。

 工業用ゴム製品は、機能性が重視され、外観等のデザイン的なものは二の次となるのが現状である。そのため、これまでは技術的特長を一番広く、強固に取れる特許の活用を中心に進めてきた。意匠権については、特許を補完する形で、製品として世の中に出て行くものに限って出願し、研究開発段階の製品については、意匠権の出願は行っていなかった。

 しかし、意匠権の活用により模倣品の入国を水際で防止することができた経験から、現在は意匠権の取得と活用についても積極的に取り組んでいる。

以上

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