意見書対応の重要性

商標の中途受任引き受けます!!第2弾

難しそうな案件でも、是非登録しておきたいという思い入れのある商標は、登録の可能性が少しでもありそうなら、きちんと反論しましょう。登録になることが結構あります。

 特許庁から拒絶理由通知をもらうと、ああ、ダメなんだと直ぐにあきらめていませんか。

 おかしいなと思ったら、積極的に意見書を提出して反論すべきです。審査官を説得すれば登録できます。

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   先に第1弾として、私が手掛けた拒絶理由通知に対する反論(意見書等)の具体例を古いものから若干掲載しました(ケース1~8)。

 その後、以外と反響があって続きも紹介してくれとのご要望もあり、また拒絶理由通知が来て困っているので何とかしてくれとの具体的なご相談もお受けしました。

 そんなわけで、引き続き古いものから順次紹介していくことに致します。

 今回は第2弾:ケース9~20を紹介します。

                       2016-11-06 S.Ogawa

 

  ここに挙げたものは、私が実務において、特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例です。何の訂正もない、生のものです。

 指定商品又は指定役務の限定補正により登録になったケースというのは勿論沢山ありますが、ここに挙げたものは、補正をすることなく、あるいは補正をしても抵触する指定商品を含みながら意見書や審判での主張で審査官等の考えを覆したケースです。いくつか参考になりそうなものを挙げてみましたので、ご覧下さい。

 商標は意見書を提出してもあまり通ったことがないと言うような話も聞いた事がありますが、審査官の拒絶理由に納得がいかなければ積極的に反論すべきです。そして、ここに掲げたように、各事例ごとの主張の仕方によっては審査官等の考えを覆すことが出来るのです。参考にしていただければ幸いです。

 尚、ここに挙げたものはその後全て登録番号が付され商標権が成立しております。

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  ケースNO.          目     次                          適用条文

   ケース9:本願商標「ピュアエステ/B ブリアント」

        ×引用商標「VALIANT/ヴァリアント」…………… 4①11

   ケース10:本願商標「SARANSPERIOR/サランスペリオール」

        ×引用商標「サラン/SARAN」……………………………4①11

   ケース11:本願商標「果実実感」×引用商標「ジッカン」………………4①11

   ケース12:本願商標「内面美容」第3類 化粧品関係……………………4①16

   ケース13:指定商品中の商品の表現に対する反論「その他の記憶媒体」

   ケース14:本願商標「マルチファイル」(拒絶査定に対する審判)………3①3

   ケース15:本願商標「ヒップスリム」……………………………3①3,4①16

   ケース16:本願商標「足心ラビング」×引用商標1,2「ラビング」4①11

                         (拒絶査定に対する審判)

   ケース17:本願商標「おいしい健康」×引用商標「健康」ほか…………4①11

   ケース18:本願商標「DOOM WOOD」×引用商標「DOOM」4①11

   ケース19:本願商標「秘文/SAFE」×引用商標「S....4①11

   ケース20:本願商標「Sanibio/サニバイオ」×引用商標「サナバイオ」「バイオサニー」4①11

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ケース9 本願商標「ピュアエステ/B ブリアント」× 引用商標「VALIANT/ヴァリアント」

1.出願番号  平成5年商標登録願第39743号

2.商  標   「ピュアエステ/B ブリアント」

3.役務区分  第42類 美容,理容

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由  「ピュアエステ/B ブリアント」は「VALIANT/ヴァリアント」に類似する。

6.意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は登録第3147571号(商公平07-068330号)の商標(以下、「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、やや小さく記載した「ピュアエステ」の片仮名文字を上段に、「B」の装飾欧文字及び「ブリアント」の片仮名文字を下段に書して、「ピュアエステ/B ブリアント」と二段書きした構成からなるものである。

 これに対し、引用商標は、「VALIANT」の欧文字を上段に、「ヴァリアント」の片仮名文字を下段にそれぞれ書して、「VALIANT/ヴァリアント」と二段に構成してなるものである。

 したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかである。

  また、本願商標の構成中「ブリアント」の文字部分は格別の意味を有しない造語であり、一方、引用商標の「VALIANT/ヴァリアント」は、「雄々しい、勇壮な、勇敢な」とか「立派な、優れた、価値のある」等(形容詞)の意味を有する言葉であって、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することはない。また、本願商標の「ブリアント」以外の他の部分においても、引用商標と観念上同一又は類似する部分はない。

(3)そこで、次に称呼の点につき検討する。

 本願商標は、上記態様より、「ピュアエステ ブリアント」の称呼を生じるが、「ブリアント」の片仮名文字部分より、単に「ブリアント」の称呼を生じる場合もあると考える。この点、審査官殿も同様に認定したものと思われる。

 これに対し、引用商標は、その態様より「ヴァリアント」の称呼を生じるものである。

 そこで本願商標の称呼の1つである「ブリアント」と引用商標の称呼である「ヴァリアント」とを比較すると、両者の称呼上の差異は、「ブ」と「ヴァ」の一音にあるが、この場合でも、以下の理由により、本願商標と引用商標とは、互いに称呼上紛れることのない非類似の商標であると思料する。

 ① 「ブ」と「ヴァ」は母音が「u」と「a」で互いに遠い音であり、口をすぼめて発音する前者と、口を大きく開いて発音する後者とでは、発声方法が異なり、称呼上明瞭に聴取且つ識別できる。

 ② しかも、この差異は、称呼上最も重要な位置を占め全体に大きな影響を及ぼす語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異である。

 ③ 両商標とも、アクセントはこの「ブ」と「ヴァ」にあり、強く称呼され、両者の称呼上の違いがより強調される。

  ④ 本願商標(サービスマーク)の対象役務は、42類の「美容,理容」であるが、この役務の関係、殊にエステティックの関係等においては、カタカナ名の商標(サービスマーク)が多く存在し、そのネーミングも化粧品分野等と同様にイメージを大切にし、その需要者・取引者層もカタカナ名のネーミングに親しんだ層であるから、上記、語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異は明確に識別し得るものと思われる。

(4)そして、このことは、以下の2つの商標が登録され、あるいは公告された事実からも言い得ることである。

 即ち、本出願人は、既に、

 A.商願平5- 34391「B ブリアント」(第42類 美容,理容)を出願しているが、これは、商公平8-142458号として出願公告され、登録第3312314号(H9/5/23登録)として、登録されている(この出願公告の決定謄本を第1号証の1として、商標公報を第1号証の2として、登録査定の謄本を第1号証の3として、商標登録通知書を第1号証の4として、それぞれ提出する)。

 また、

 B.商願平5-119617「若返りサロン ブリアント」(第42類 美容,理容)を出願しているが、これは、商公平9-21386号(H3/3/17公告)として出願公告されている(この出願公告の決定謄本を第2号証の1として、商標公報を第2号証の2として、それぞれ提出する)。

  このように、同じく第42類「美容,理容」の分野において、「ブリアント」の文字を含む商標を審査した2人乃至3人の審査官の判断によれば、「ブリアント」は、他に類似する商標がないとして、いずれも公告決定(ないし登録査定)がなされている。これは、語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異により、両者は明確に識別し得るものと判断して、今回の引用商標を引用しなかったものと思われる。

 然るに、本願商標も先の上記A.Bの商標と同様のケースである。

(5)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標であると考える。

 よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

 

ケース10 本願商標「SARANSPERIOR/サランスペリオール」×引用商標「サラン/SARAN」

1.出願番号  平成6年商標登録願第69547号

2.商  標   「SARANSPERIOR/サランスペリオール」

3.商品区分  第3類:せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由  「SARANSPERIOR/サランスペリオール」は

        「サラン/SARAN」に類似する。

6.意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は登録第3107500号(商公平7-48254号)の商標(以下、「引用商標」という)と類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、「SARANSPERIOR」の英文字を上段に、「サランスペリオール」の片仮名文字を下段にそれぞれ配置して、「SARANSPERIOR/サランスペリオール」と二段併記してなるものである。

 これに対し、引用商標は、「サラン」の片仮名文字を上段に、「SARAN」の英文字を下段にそれぞれ配置して、「サラン/SARAN」と二段併記してなるものである。

 従って、両者は、外観上類似しないことは明らかである。

  また、本願商標は、「SARANSPERIOR/サランスペリオール」と、英文字部分と片仮名文字部分を一連に書した態様で、何の意味も有しない造語であるが、引用商標は、「合成樹脂の一。塩化ビニリデン(CH=CCl)と少量の塩化ビニルとの共重合体。耐薬品性が大。吸湿性小。自動車の内装、漁網、食品包装用フィルムに用いる。」(広辞苑)もので、特に、食品包装用フィルムとしては、「サランラップ」としてなじみのある「サラン」を表すものであるから、両者は観念上も類似することはない。

(3)そこで、称呼の点につき検討するに、本願商標は、上下段とも一連に書した態様で且つ何の意味も有しない造語であることから、常に「サランスペリオール」と一連に称呼され、単に「サラン」と称呼されることはないと思料する。この点、審査官殿は、全体がやや冗長であることから、「SARAN」「サラン」の部分をとらえて、単に「サラン」と称呼されることもあると考えて前記の通り認定したものと思料するが、本出願人は、そのようなことはないと考える。

 即ち、本願商標は、①前段・後段を分けることなくあくまで一連に書した態様であること、②全体として特定の観念を有しない造語であって区切って発音すべき理由がないこと、③「スペリオール」の部分も称呼上のウェイトが大きいため、この部分を省略して発音することはあり得ないこと、④全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいこと、それ故、一連に称呼するのが自然であると考えられること、⑤石けんや化粧品等の指定商品との関係においては多少長めの称呼も市場に多数存在するが、取引者・需用者は一連に称呼するのが常であって省略して称呼するような実情にないこと、⑥特に、化粧品などの需用者は、商標を注意深く観察し購買するのが常であって、商標部分は一連一体に把握するのが普通であること、等の理由から、本願商標はあくまで「サランスペリオール」とのみ称呼されるものと思料する。

 そこで、本願商標の称呼である「サランスペリオール」と引用商標の称呼である「サラン」とを対比すると、「スペリオール」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調が全く異なり明確に識別できるので、称呼上も相紛れることのない非類似の商標である。

(4)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。

 よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

 

ケース11 本願商標「果実実感」×引用商標「ジッカン」

1.出願番号  平成7年商標登録願第102034号

2.商  標   「果実実感」

3.商品区分  第32類:清涼飲料、果実飲料

               *後に「果汁入り清涼飲料,果肉入り清涼飲料,果実飲料」に補正。

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由  「果実実感」は「ジッカン」に類似する。

6.意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は登録第2028705号(商公昭62-55062号)の商標(以下、「引用商標」という)と類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、漢字で一連に「果実実感」と書した態様からなるものである。

 これに対し、引用商標は、女性の顔図形の下に「TSUMURA」と小さく書し、その下にやや大きくカタカナ文字で「ジッカン」と書した態様である。

 したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかである。

(3)また、本願商標の「果実実感」は、「果実」の文字と「実感」の文字とを結合して一連一体に書したものであり、従って、その商標態様より、「果実を実感する」「果実を実際に食しているかのような生き生きとした感じを受ける」等の観念を生じさせるものである。

 つまり、本願商標中の「果実」の言葉は、指定商品第32類「清涼飲料、果実飲料」との関係にあって、その原材料名を表す言葉ではあったとしても、本願商標はその「果実」の言葉のみから成るものではなく、あくまで「実感」の言葉と一体となって、「果実実感」が全体として上記した特定の観念を生じさせるものであり、「実感」の部分が単独で識別され且つ観念されるようなことはない。本願商標は、あくまで「果実実感」で1つの商標であり、分断されて認識されるものではない。

 これに対し、引用商標は、単に津村の「ジッカン」であり、何のジッカンなのか(十干?、実感?)定かではなく、ましてや本願商標の前記観念を生じさせるものではない。仮に、「ジッカン」が「実感」を表すものと認識されたとしても、それはあくまでも「実物に接して起こる感じ」を認識させたにすぎず、上記したような本願の観念は生じない。

 よって、本願商標と引用両商標とは、観念上も紛れることのない、非類似の商標である。

(4)そこで、次に称呼の点につき検討するに、本願商標「果実実感」は、全体が一連に書され、かつ上述の如く全体として一つの意味合いを生じさせるものであるから、常に一連に称呼するのが自然であり、「カジツジッカン」とのみ称呼されるものと思料する。

 この点、審査官殿は、本願商標中の「果実」の部分は、指定商品との関係にあって、要部を構成せず、従って「実感」のみに識別力を生じ、単に「ジッカン」の称呼も生じるとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察するが、その認定はおかしい。

 例えば、この商品の分野において、前段部分はいかにも商品の原材料表示と見える商標であっても、他の言葉と結びつくことによって、分断できない一つの商標と認識され、登録ないし公告になったケースは以下の如く多く存在する。

N29 S63-013801K  2080858T     びわ美人      ㈱壮健化学

N29 H02-011571K  2265272T     りんご美人      十和田果汁生産組合

N29 H03-104539K  2439770T     びじん@美人    タイガー魔法瓶㈱

K32 H08-057389K               果実美人      ネスコベンディング㈱

K32 H08-095245K               ビタミン美人    明治乳業

K32 H08-095288K               カルシウム美人   明治乳業

 これらの商標の存在は、全体として観察し、分断できない商標と認識しなかったならば説明がつかない。

 また、以下の商標も前段部分が要部でないとの判断がされていたならば併存することのない商標であるが、一体の商標と捉え、併存している。

N29 S61-014708K  1905895T     野菜牧場      カゴメ㈱

N29 S63-089239K  2160151T     果物牧場      カゴメ㈱

N29 H01-026625K  2198378T     果実牧場      カゴメ㈱

N29 H01-026626K  2198379T     フル-ツ牧場    カゴメ㈱

K32 H07-045412K  3130546T     果汁牧場      森永乳業㈱ 

(*但し、⑧⑨⑩は、前段が同様の意味なので、互いに連合である)。

 更に、以下も同様な例と思われる。

N29 H05-077664K  2655623T     レモンク              明治乳業㈱

K32 H07-077835K  3152736T     ウメク               大塚 正士

K32 H08-146324K              クール            サッポロビール㈱

 

 このように、「原材料を表す言葉」+「美人」や「牧場」や「クール」などは、互いに併存しており、本願商標「果実実感」と引用商標「ジッカン」との関係も同様のケースと思われる。

 以上述べたように、本願商標は、①前段と後段を分けることなくあくまで一連に書した態様であること、②全体としてまとまった特定の意味合いを観念させるものであり、分断して発音すべき理由がないこと、③「果実」(カジツ)の部分も「実感」(ジッカン)の部分も軽重の差なく称呼できること、④「果実」の部分は前段部分にあり、称呼上重要な位置を占め、この部分を省略して発音することはあり得ないと考えられること、⑤全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいこと、それ故、一連に称呼するのが自然であると考えられること、⑥果実飲料等の分野において、原材料を表す言葉と他の言葉との結合商標である場合には、あくまで全体として一つの商標と捉えて登録されている例は多く存在していること、等の理由から、本願商標はあくまで「カジツジッカン」とのみ称呼されるものと思料する。

 そこで、本願商標の称呼である「カジツジッカン」と引用商標の称呼である「ジッカン」とを対比すると、「カジツ」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調が全く異なり明確に識別できると考えるので、両者は称呼上も相紛れることのない非類似の商標であると考える。

(5)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。

 よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

 

ケース12 本願商標:「内面美容」

1.出願番号  平成8年商標登録願第67391号

2.商  標   「内面美容」

3.商品区分  第3類:せっけん類,香料類,化粧品

4.適用条文    商標法第4条第1項第16号

5.拒絶理由  本願商標を付された商品が恰もこれに用いられる「内面美容食品」であるかの如く理解される。

6.意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は、「内面美容」の語を普通に用いられる方法で表してなるところ、当該語は「食事等を通じて内面的な効果により美しくなること」を認識させ、本願商標を付された商品が恰もこれに用いられる「内面美容食品」であるかの如く理解されるとするのが相当であることから、本願指定商品に使用した場合には、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当すると認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標の「内面美容」を、本願指定商品に付して使用しても、決して「内面美容食品」であるなどと認識させるものではないと考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、漢字で一連に「内面美容」と書した態様からなるものであり、且つ指定商品を第3類の「せっけん類,香料類,化粧品」とするものである。

 然るに本願商標の「内面美容」は、審査官もご指摘のように、「食事等を通じて内面的な効果により美しくなること」を認識させる言葉であることを否定するものではないが、その言葉の意味合いがそのまま本願指定商品の品質・効能等を表示するものとすることは些か短絡的に過ぎ妥当ではないと考える。本願の指定商品はあくまで「せっけん類,香料類,化粧品」であって、口から身体内部に取り入れて体の栄養となる「食品」ではないのである。

 つまり、

 ①「せっけん」は、「皮膚の垢やほこりなどの汚れや、衣類に付着した固体汚れ、油性汚れなどを取り除く洗浄剤」であり、

 ②「香料」は、「芳香を有し、人間の日常生活に役立つ有益な有香物質」であり、

 ③「化粧品」は、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」(薬事法)であって、いずれも、汚れを落としたり、香りを与えたり、人体表面を健やかに保つためのもので、人体内部に食事等を通じて取り入れて作用させるような性質の物ではないし、ましてや人体内部を美しくするようなものでもない。このような指定商品の性質からしてそれはあり得ない。従って、本願商標を「せっけん類,香料類,化粧品」に使用しても、「内面美容食品」であるなどと、取引者・需用者に認識されることはない。即ち、「食べられるせっけん類、食べられる香料類、食べられる化粧品」などと認識されることはない。まして石けん,香料,化粧品等に本願商標を付したからといって、それら商品が内面の美容に役立つ効能を有しているなどと誤解されるようなこともあり得ないと思料する。

(3)よって、本願商標は商品の品質について誤認を生じさせるおそれはなく、充分登録適格性を有するものと思料します。

 

ケース13 物件提出命令で指定商品中の「その他の記憶媒体」が不明であるとの指摘に対して物件提出書に代える意見書で反論した例

1.出願番号  平成8年商標登録願第113189号

2.商  標   「MEDIA TECHNICAL+図+Multi File」

3.商品区分  第9類:フロッピーディスク・CD-ROM・磁気ディスク・光磁気ディスク・光ディスクその他の記憶媒体専用の収納ケース

4.反論の内容(理由)

(1)平成10年4月27日付の「物件提出命令書」(発送日:同5月29日)におい

て、指定商品中「その他の記憶媒体」が不明であるから、それらを明らかにするための商品に関するカタログを提出されたい旨の指摘を受けた。

(2)しかしながら、ここでいう「その他の」の言葉は、その前に出てくる「フロッピ

ーディスク・CD-ROM等」を、その後に出てくる「記憶媒体」の例示として示す役割を果たす法令用語であって、「記憶媒体」の例示として、「フロッピーディスク・CD-ROM・ミニディスク等の磁気ディスク・光磁気ディスク・光ディスク」が存在するのであるから、決して不明瞭ではないと思料する。つまり、本願指定商品の記載の中で言っている「その他の」は、言い換えれば「等の」程度の意味であり、その前にたくさんの例示があるので、この程度の記載で十分に商品が認識できると思われる。

  林修三著「法令用語の常識」(日本評論社:セミナー叢書)にも解説されているように、例えば、「内閣総理大臣その他の国務大臣」、「俸給その他の給与」、「委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員」というような用例を見ても分かるように、「その他の」が使われている場合は、「その他の」の前に出てくる言葉は、後に出てくる一層意味内容の広い言葉の一部をなすものとして、その例示的な役割を果たす趣旨で使われているのである。即ち、「内閣総理大臣」、「俸給」、「委員会の委員」という言葉は、それぞれの後に続く「国務大臣」、「給与」、「委員」という、より意味内容の広い言葉の例示として使われているのである。

  一方これに対し、「勤務期間、勤務能率その他勤務に関する諸条件」とか、「賃金、給料その他これに準ずる収入」というように、「その他」という言葉が用いられている場合は、その「その他」の前にある言葉と後ろにある言葉とは、「その他の」の場合(例示関係)と異なって、並列関係にあるのが原則である。

 従って、もし本件が、並列関係にある「その他」で結んであれば、「記憶媒体」の意味内容は何の例示もないことになって不明瞭であるとの指摘もやむを得ないと思われるが、本件の「その他の」の場合は、前述したとおり、あくまで例示関係を示すものであるから、「記憶媒体」の概念に入る商品としては、「フロッピーディスク・CD-ROM・ミニディスク等の磁気ディスク・光磁気ディスク・光ディスク」等(例示してないが、他に「DVD」なども挙げられる)、多数の例示があり、決して不明瞭だとはいえないと思料する。

 なお、「その他の記憶媒体」を言い換えるとすれば、「その他これに類する記憶媒体」とか、「等の記憶媒体」とかになるであろう。

(3)ところで、以上主張の通り、本願の指定商品の書き方で不明確だとは思えないが、

ここ数年の出願公告例などを調べてみると、以下のような商品名が発見できた。

・商公平4-118514「家庭用のテレビゲームのプログラムを記録した記録担体

・商公平4-146801「シンセサイザー用の音源を記録したフロッピーディスク等の記録媒体

 そこで、もし「記憶媒体」という言葉そのものが不明瞭であるというのであれば、「記録担体」とか「記録媒体」とかに変更する準備があるので、指摘願いたい

 しかしながら、日本大百科全書によれば、「記憶装置」の項に「コンピュータシステムにおいて、プログラム及びデータを格納、保持し、取り出すことのできる装置。」との説明があり、「磁気テープ」や「フロッピーディスク」などもその例として挙がっている。そして、フロッピーディスクの説明としては、「コンピュータの入出力媒体の一つで、磁気ディスクを手軽にしたもの。」との説明があるので、「記憶媒体」でも不正確ではないと思われる。

 なお、本出願人の簡単なプロフィールや取り扱い業務を説明するため、会社紹介のカタログ(第1号証)を添付するので、参照していただきたい。

(4) 以上の通り、本願の指定商品の記載の仕方、とりわけ「その他の記憶媒体」の表現でも決して不明瞭ではないと思料します。

 

ケース14 本願商標:「マルチファイル」

1.出願番号  平成6年商標登録願第15441号(拒絶査定に対する審判事件)

        ( 審判8-5722)

2.商  標   「マルチファイル」

3.商品区分  第20類:フロッピーディスク収納ケース,ロム収納ケース,その他の家具,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器

4.適用条文    商標法第3条第1項第3号

5.拒絶理由  「マルチファイル」は単に商品の品質用途を表示するにすぎない。

6.審判における反論(請求の理由)

(1)手続の経緯

 出     願      平成 6年 2月21日

  住所(居所)変更届 平成 6年 4月13日

 物件提出命令書      平成 6年11月18日

  物 件 提 出 書   平成 6年12月 1日

 拒絶理由の通知      平成 7年12月 1日(起案:平成7年11月10日)

  意  見  書   平成 8年 1月 5日

 拒            平成 8年 3月14日

  同 謄 本 送 達    平成 8年 4月12日

(2)拒絶査定の理由の要点

  原査定の拒絶理由は、「本願は、平成7年11月10日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認める。おって出願人は意見書において種々述べているが、本願商標中「マルチ」の語は商品の多様性の意で又、「ファイル」の語は整理して保存するの意で、広く一般に親しまれているばかりでなく、キャビネット類、FD収納ケース等においても同様の意として用いられているから、このような語を連続して書しても「多様に整理して保存ができること」を示したにすぎない。よって先の認定を覆すことはできない。それ故、本願は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第15条の規定に基づき、拒絶する。」というものである。

(3)本願商標が登録されるべき理由

 しかしながら、本願商標は、決して「多様に整理して保存ができること」を表す品質用途表示として普通に用いられている態様のものではなく、十分に識別力を有する商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当せず、登録適格なものと思料する。

① 本願商標の構成

  本願商標は、カタカナ文字で、一連に「マルチファイル」と横書きした態様である。

② 審査官の認定に対する反論

 審査官が指摘するように、本願商標は、なる程、「多様性」の意を持つ「マルチ」の文字と、「整理して保存する」の意で、広く一般に親しまれ、キャビネット類、FD収納ケース等においても同様の意として用いられている「ファイル」の文字を一連に書して「マルチファイル」と表記してなるものであることは事実である。

 しかしながら、本願商標の「マルチファイル」は、本願指定商品との関係において、一般的に通用し確立された意味を有する言葉とはなっていない。

 例えば、研究社の「新英和辞典」(第1号証)を紐解いても、「multifile」という単語は存在していない。

  また、各社の販売商品及び商品カタログ類をみても、「マルチファイル」の言葉は存在していないし、取引市場において通用しているということもない。

  それ故、審査官の指摘は、当を得たものということはできない。つまり、一連に書した本願商標「マルチファイル」は「多様に整理して保存ができること」を表す品質用途表示として普通に用いられている事実はないし、ましてそのような意味として、広く一般に親しまれている事実はない。

 第2号証乃至第8号証は、1995年ビジネスショーにおける主要各社(sedia セキセイ(株),ぺんてる(株),(株)キングジム,スライデックス(株),(株)LIHIT LAB.)のカタログ類の写しであるが、これらを見てもわかるように、この種の商品を表す言葉としては、「フロッピーディスクファイル」、「FDファイル」、「フロッピーディスクホルダー」,「フォロッピーディスクバインダー」,「FDホルダー」,「MOホルダー」,「FDバインダー」,「MOバインダー」などが一般的であって、決して、「マルチファイル」の言葉は用いられていない。

 それ故、この「マルチファイル」はあくまで特定の観念を有しない造語と理解すべきであって、上記した商品群と共に使用された場合であっても、十分に識別性を発揮するものと思料する。つまり、この「マルチファイル」は、その構成各文字の意味からして商品の品質用途等を間接的に表示することはあっても、直接的に「多様に整理保存する(できる)」といった意味あいを生ずる言葉として確立されている訳ではないし、まして、商品の品質用途表示として確立されている言葉でもない。

 商標法第3条第1項第3号では、「その商品の品質、用途、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」を拒絶することとしているが、「マルチファイル」は「多様に整理保存する(できる)」といった意味で普通に用いられている訳ではないから(*但し、間接的に観念させるかもしれないが)、一連一体に書した「マルチファイル」は十分に識別標識として機能し得る商標であり、商標法第3条第1項第3号の要件には該当しないと考える。

③ 過去の商標登録/公告例

   このことは、過去の商標登録/公告例を見ても言い得ることである。即ち、

  まず、本願商標と同一の

  (a)「マルチファイル」は、過去において、商標登録第1095464号(商公昭48-49056号)(第9号証)として登録された経緯があり、これはその後の更新手続きを採らずに消滅したものの、10年間識別標識たる商標として登録され機能していたことは、厳然たる事実である。

 審査官においては、商標の識別力は時代の変遷により変わり得るものであるとの認識があって、過去に「マルチファイル」の登録例があるにも拘らず、この度のような品質用途表示であるとの判断をされたのであろうが、果たしてその認識が正しかったのかは、はなはだ疑問である。

 本審判請求人は、むしろ次の登録例や公告例を見る限りこの間にそれほどの変遷があったとは思われず、審査官の判断は法の適用を誤ったものであると考えざるを得ない。

 つまり、昭和60年代以降最近に至るまで、審査官指摘の如くに構成各文字を分析すれば「マルチファイル」と同様の意味合いを有するであろう商標が以下の如く多数存在するが、これらの商標は拒絶されることなく、登録され又は出願公告されているのである。即ち、

 (b)「マルチワーク」(登録第1858931号、商公昭60-62967号)(第10号証)

これなどは審査官指摘の如くに解釈すれば、「多様な働きを有する」程度の意味ということになるのであろうが、現実には登録されている。

 (c)「マルチサイド」(登録第1923201号、商公昭61-37508号)(第11号証)

これなども審査官指摘の如くに解釈すれば、「多様な側面(収納)を有する」程度の意味ということになるのであろうが、登録されている。

 (d)「マルチスペース/MULTISPACE」(登録第1997184号、商公昭62-27530号)

(第12号証)これなども審査官指摘の如くに解釈すれば、「多様な空間、余地を有する」程度の意味ということになるのであろうが、登録されている。

 (e)「MultiBinder」(商公平6-20751号)(第13号証)これなども審 査官指摘の如くに解釈すれば、「多様に綴じ込みできる」程度の意味ということに なるのであろうが、公告されている。

 (f)「マルチバインダー」(商公平6-20752号)(第14号証)同じく、「多様に綴 じ込みできる」程度の意味ということになるのであろうが、公告されている。

 (g)「MOFILE」(商公平7-54242号)(第15号証)これなども審査官

指摘の如くに解釈すれば、「MO(Optical Memory=光磁気ディスク)を整理保存する」程度の意味ということになるのであろうが、公告されている。

  このように、審査官指摘の如くに商標の意味合いを解釈すれば、登録乃至公告にならなかったであろうはずの商標が、現実には登録され、又は公告されているのである。しかも、これらの商標に商標法第3条第2項の規定が適用された形跡もない。

 しかるに、本願商標もこれら登録乃至出願公告された商標と同様の意味合いを持つ商標であり、殊に、前記未更新の登録第1095464号(商公昭48-49056号)商標「マルチファイル」とは、全く同一なのであるから、本願商標もこれらの商標と同様に、識別力ある商標として登録されてしかるべきであって、拒絶される理由はない。よって、この意味で、今般の審査官の認定は最近の登録乃至公告例を無視したものであって、容易に納得できるものではない。

(4)むすび

  以上のように、本願商標「マルチファイル」は、品質用途表示として普通に用いられる態様のものではなく、十分に識別力を有する商標であると考えますので、商標法第3条第1項第3号の規定には該当せず、登録適格なものと思料致します。

 

ケース15 本願商標:「ヒップスリム」

1.出願番号  平成7年商標登録願第73645号

2.商  標   「ヒップスリム」

3.商品区分  第11類:美容院用・理髪店用機械器具(いすを除く)

4.適用条文    商標法第3条1項3号、第4条第1項第16号

5.拒絶理由  「ヒップがスリムになること」を認識させるもので、単に商品の品質、用途を表示するにすぎない。

6.意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、「ヒップスリム」の片仮名文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、「ヒップがスリムになること」を認識させるものであり、指定商品中、例えば、電気的刺激による痩身美容のための業務用マッサージ器等に使用したときは、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認められ、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当すると認められた。

 しかしながら、本出願人は、本願商標の「ヒップスリム」は一種の造語であって、本願指定商品に付して使用しても、決して品質・用途を認識させるものではないと考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2) 本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、片仮名文字で一連に「ヒップスリム」と書した態様からなるものであり、且つ指定商品を第11類の「美容院用・理髪店用機械器具(いすを除く)」とするものである。

 然るに本願商標の「ヒップスリム」は、「ヒップがスリムになること」を間接的に表示する文字であることを否定するものではないが、本願商標は、あくまでも「ヒップ」の文字と「スリム」の文字とを結合して作った造語であり、「ヒップスリム」が品質・用途表示として普通に用いられている事実はないのであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するとした審査官殿の認定には納得することはできない。

 即ち、「ヒップスリム」は造語であり、しかも「ヒップスリム」が普通に品質・用途表示として用いられている事実がない以上、取引者・需用者が、例えば、業務用マッサージ器に商標的態様で「ヒップスリム」と書してある文字を見て、これを品質・用途表示であると認識するとは思われない。むしろ、一般的には、「ヒップスリム」という商標名の製品であると思うのではなかろうか。そうだとすれば、本願商標「ヒップスリム」は充分に識別標識として機能し得る商標である。

(3)  そして、このことは、第42類の美容関係の役務において、「ヒップスリム」の商標が第4062801号として登録になっている事実からも伺い知ることができる。

  即ち、本出願人は、「ヒップスリム」の商標をこの第11類だけでなく、第42類の美容関係においても、商願平7-73646号(平成7年7月21日出願)として出願しているが、この商標は、平成9年10月3日付で第4062801号として登録になっている(第1号証参照)。

 審査官殿のお考えに従えば、ヒップがスリムになるというのはエステティック等の美容関係においては、正しく役務の質や効能等を表す意味合いと受け取れるが、それでも、「ヒップスリム」が第42類で登録されたということは、「ヒップスリム」の文字をそのような「ヒップがスリムになる」という意味合いで理解したのではないということである。

  第42類の美容関係においてすらそうであるのに、第11類の「美容院用・理髪店用機械器具(いすを除く)」の分野において、品質・用途表示であるなどと理解し、認定するのはおかしい。

  繰り返し述べるが、本出願人は、「ヒップスリム」が「ヒップがスリムになること」を間接的に表示する文字であることを否定するものではない。しかし、そのことが直ちに、本願商標が、品質・用途表示にすぎない(即ち、品質・用途を普通に用いられる方法で表示する標章)と言うことにはならない。商標法第3条第1項第3号の商標審査基準には、指定商品の「品質」、「効能」、「用途」等又は指定役務の「質」、「効能」、「用途」等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする、と明確にうたっている。この基準に照らし合わせてみても、今般の審査官殿の認定に承服することはできない。

(4) 以上の通りでありますので、本願商標は商品の品質や用途を普通に用いられる方法で表示する商標ではなく、充分登録適格性を有するものと思料します。

 

ケース16 本願商標:「足心ラビング」×引用商標1,2:「ラビング」

1.出願番号  平成7年商標登録願第131657号(拒絶査定に対する審判事件)

        ( 審判9-7903)

2.商  標   「足心ラビング」

3.商品区分  第3類:せっけん類,香料類,化粧品

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由  「足心ラビング」は「ラビング」に類似する。

6.審判における反論(請求の理由)

(1)手続の経緯

 出     願      平成 7年12月21日

 拒絶理由の通知      平成 9年 1月24日(起案:平成8年1220日)

  意  見  書   平成 9年 2月 7日

 拒            平成 9年 3月14日

  同 謄 本 送 達    平成 9年 4月11日

(2)拒絶査定の理由の要点

  原査定の拒絶理由は、「本願は、平成8年12月20日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認める。追って、出願人は意見書において種々述べているが、本願商標は、漢字と片仮名で構成されてやや冗長でなるところ、構成中「足心」の部分は、身体中の部位(「足の裏」)を指称し、指定商品の品質,効能,用途を表すものとして認識され、且つ簡易迅速を旨とする商取引の社会においては、その構成中品質,効能等を表す部分を捨象し、顕著な自他商品識別力を有する「ラビング」の文字部分のみを捉えて取引に供される場合もあるというを相当とし、該文字部分より「ラビング」の称呼、観念(愛情のある)をも生じるものと認められる。他方、引用両商標はその構成に照応して、ラビング」の称呼、観念(愛情のある)を共通にする、彼此相紛らわしい、称呼上、若しくは観念上においても類似の商標と認められる。それ故、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第15条の規定に基づき、拒絶をすべきものと認める。」というものである。

(3)本願商標が登録されるべき理由

  然るに、本出願人は、意見書において、本願商標の構成や指定商品に関わる取引者・需要者層の実情等についても説明し、本願商標は拒絶理由には該当しないことを主張したにも拘わらず、かかる認定をされたことに対しては承服できない。従ってここに再度ご審理を頂きたく、審判を請求する次第である。

① 本願商標の構成

 本願商標は、願書に添付した商標見本からも明らかなように、漢字とカタカナ文字とで一連に「足心ラビング」と書した態様からなるものである。

 このうち、本願商標前段の「足心」は、第二の心臓と言われる足をみて内蔵の状態を知り、もみほぐすことによって心身を健康にする、いわゆる「足心道」の足心であり、漢方で「足のうら」を意味する。即ち、「足心道」は漢方の健康法であり、誰でもが持っている自然治癒力を強化する健康法であるが、健康法といっても、身体ばかりでなく、心も安らかでなければならないという、「健体健心法」を意味する。身体に病気があれば、気分もいらだち、心の安らかさは得られない。身体が健やかなら、何でもできるという自信が満ちてくる。「健康な身体と心」をつくることが、足心道における健康法であり、本願商標は、かかる意味合いを込めて、「足心」の文字を前段に使用したものである。また、本願商標後段の「ラビング」は、英文字の「loving」に通じ「愛情のある、愛のこもった、愛情を表した」等の意味を有する。そして、本願商標は、これらの文字を結合し「足心ラビング」と一連に表すことによって、全体として「足のうらを愛情を持って優しくもみほぐし、心身を健康にする」,「足のうらへの愛情」といった意味合いを生ぜしめる(或いは暗示する)造語である。

② 引用商標1及び2の構成

 引用商標1(登録第434183号(商公昭28-9909号、更05)の商標)は、「ラビング」のカタカナ文字を縦書き(指定商品:香料及び他類に属しない化粧品)したものであり、また、引用商標2(登録第1607647号(商公昭56-22403号、更05)の商標)は「ラビング」のカタカナ文字を横書き(指定商品:せっけん類、歯みがき)したものであって、両者は共に、単に「愛情のある、愛のこもった」等の意味を有する英文字の「loving」に通じる言葉でしかなく、本願商標の如く「足のうらを愛情を持ってもみほぐし、心身を健康にする」,「足のうらへの愛情」といった意味合いを観念させるものではない。

③ 審査官の認定に対する反論

  審査官の認定によれば、本願商標は、漢字と片仮名で構成されてやや冗長でなるところ、構成中「足心」の部分は、身体中の部位(「足の裏」)を指称し、指定商品の品質,効能,用途を表すものとして認識され、且つ簡易迅速を旨とする商取引の社会においては、その構成中品質,効能等を表す部分を捨象し、顕著な自他商品識別力を有する「ラビング」の文字部分のみを捉えて取引に供される場合もあるというを相当とし、該文字部分より「ラビング」の称呼、観念(愛情のある)をも生じるものと認められる、としている。

 しかしながら、審査官の本願商標に対するこの認定は妥当でなく、従って結論も不当である。

  本願商標は、前述したとおり、「足心」の文字と「ラビング」の文字とからなるものであるが、これらの文字を結合して一連一体に「足心ラビング」と書すことによって、全体として「足のうらを愛情を持って優しくもみほぐし、心身を健康にする」といった意味合いを生ぜしめる(或いは暗示させる)造語からなるものである。しかも、「足心」の文字部分は、漢方を学んだものであれば「足のうら」を意味するであろうことは見当がつくものの、広辞苑にも「足心」の項目がないように、審査官が指摘するほど指定商品の品質,効能,用途を表すものとして一般的に親しまれた言葉となっている訳ではない。従って、この「足心」を捨象し、「ラビング」のみに自他商品識別力がある如き審査官の見方は一般的ではない。不自然である。本願商標の前段「足心」と後段「ラビング」には軽重の差はないとみるべきであり、あくまで全体として捉えて一つの識別力のある商標とみるべきである。このことは、例え、簡易迅速を旨とする商取引の社会においてもそうである。商取引社会において、本願商標を捉えて、単に「ソクシン(足心)」と称呼・観念したり、或いは単に「ラビング(愛情のある)」と称呼・観念するといったようなことはあり得るであろうか。あり得ないとみるのが自然である。本願商標は、あくまでも一連に「ソクシンラビング」と称呼して語呂もよく、一体の言葉として称呼・観念されるものと思料する。

  そして、多少重複するがまとめの意味もあるので述べると、本願商標は、意見書でも主張したように、

(a)漢字とカタカナ文字とから構成される態様ではあっても、前段と後段を分けることなくあくまで一連に書した態様であること、

(b)全体としてまとまった特定の意味合いを観念させるものであり、分断して発音すべき理由がないこと、

(c)「足心」の部分も「ラビング」と同じく4音に「ソクシン」と称呼され、軽重の差なく称呼できること、

(d)「足心」の部分は前段部分にあり、称呼上重要な位置を占め、この部分を省略して発音することはあり得ないと考えられること、

(e)全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいこと、それ故、一連に称呼するのが自然であると考えられること、

(f)石けんや化粧品等の指定商品との関係においては多少長めの称呼も市場に多数存在するが、取引者・需用者は一連に称呼するのが常であって省略して称呼するような実情にないこと、

(g)特に、化粧品などの需用者は、商標を注意深く観察し購買するのが常であって、商標部分は一連一体に把握するのが普通であること、

等の理由から、本願商標はあくまで「ソクシンラビング」とのみ称呼され、且つ「足のうらへの愛情」等の意味合いを生ぜしめる言葉として理解されるものと思料する。

 よって、本願商標の称呼・観念である「ソクシンラビング」(足のうらへの愛情)と引用商標1及び2の称呼・観念である「ラビング」(愛情のある)とを対比して明らかなように、「ソクシン」の称呼・観念の有無によって、両者は音数及び語感語調並びに観念が全く異なり、明確に識別できる非類似の商標であると考える。

(4)むすび

 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観上は勿論、称呼及び観念上も紛れることのない非類似の商標である。

 よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号の規定には該当せず、登録適格なものと思料しますので、請求の趣旨のとおりのご審決を賜りますようお願い申し上げます。

 

ケース17 本願商標「おいしい健康」×引用商標「健康」ほか

1.出願番号  平成9年商標登録願第127987号

2.商  標   「おいしい健康」

3.商品区分  第29類:乳製品,食用油脂

        第32類:清涼飲料,果実飲料,乳清飲料

             *指定商品の補正付き。

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由 「おいしい健康」は「ケンコウ」「KENCO」「健康」に類似する。

6.意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、下記の商標と同一又は類似であって、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定された。

・第29類 引用NO.1,3,4,5

・第32類 引用NO.1,2,4,5

(引用商標一覧)

   1 登録第0639252号(商公昭38-024934)旧31類  ケンコウ

   2 登録第1573237号(商公昭57-032535)旧29類  KENCO

   3 登録第1847025号(商公昭60-046912)旧32類  健康

    4 登録第2664906号(商公平05-090232)旧33類  おいしい/健康

    5 商願平09-028365  健康

 しかしながら、本出願人は、本日付けで手続補正書を提出し、引用商標4に係る指定商品と同一又は類似する本願の指定商品を削除する補正、即ち、「第29類 乳製品,食用油脂/第32類 清涼飲料,果実飲料,乳清飲料」に改める補正を行ったので、この引用商標4との関係においては、拒絶の理由は解消したものと思料する。

  そこで、以下、第29類の指定に係る本願商標については、引用商標1,3,5との関係で、また、第32類の指定に係る本願商標については、引用商標1,2,5との関係で、意見を申し述べるが、両商品区分ともほぼ同様の主張となるので、まとめて意見を申し述べる。

(2) まず、本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、平仮名と漢字で一連に「おいしい健康」と書した態様からなるものである。

 これに対し、引用商標1は、カタカナ文字で「ケンコウ」と書してなり、また、引用商標2は、欧文字で「KENCO」と書してなり、更に引用商標3及び5は、漢字で「健康」と書した態様からなるものである。

 したがって、本願商標と引用商標1,2,3,5とは、外観上類似しないことは明らかである。

(3) また、本願商標の「おいしい健康」は、平仮名の「おいしい」と漢字の「健康」とを結合して一連一体に書したものであり、その商標態様より、「美味しいということは健康なことだ」とか、「健康であれば美味しく戴ける」といったような観念をイメージさせるものである。

 つまり、本願商標中の「おいしい」の言葉は、商品の品質の優秀さをある意味で示唆する言葉ではあっても、本願商標はその「おいしい」の言葉のみから成るものではなく、あくまでも「健康」の言葉と一体となって、「おいしい健康」全体として上記した特定の観念を生じさせるものであり、「健康」の部分が単独で識別され且つ観念されるようなことはない。本願商標は、あくまで「おいしい健康」で1つの商標であり、分断されて認識されるものではない。

 これに対し、引用商標は、単に「ケンコウ」であったり、「KENCO」であったり、「健康」であったりするもので、前二者の「ケンコウ」「KENCO」を善意に解釈して「健康」を意味する言葉であると理解したとしても、これらは、あくまでも「身体に悪いところがなく健やかなさま」を認識させるだけの言葉であり、どのような健康なのか、健康であることがどうなのかは定かではない。ましてや、上記したような本願商標の観念は生じない。

 よって、本願商標と引用商標1,2,3,5とは、観念上も紛れることのない、非類似の商標である。

(4)  そこで、次に称呼の点につき検討するに、本願商標「おいしい健康」は、全体が一連に書され、かつ上述の如く全体として一つの意味合いを生じさせるものであるから、常に一連に称呼するのが自然であり、「オイシイケンコウ」とのみ称呼されるものと思料する。

 この点、審査官殿は、本願商標中の「おいしい」の部分は、指定商品との関係にあって、要部を構成せず、従って「健康」のみに識別力を認め、単に「ケンコウ」の称呼も生じるとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察するが、そのような認定はおかしい。

  過去の審査例をみても、例えば、

 (イ)旧29類「仲間」(登録第2262846号:日清製油株式会社:第1号証)が有りながら、「おいしい仲間」(登録第2547603号:株式会社ダイエー:第2号証)が登録されているし、

 (ロ)旧29類「ステーション」(登録第2684672号:株式会社ニチレイ:第3号証)が有りながら、「おいしいステーション」(登録第3321969号:和光堂株式会社:第4号証)が登録されている。

 これらは指定商品も抵触しているのであるから、「おいしい」の部分も一体となった商標、即ち「おいしい仲間」及び「おいしいステーション」ともに、分断することのできない一体の商標として理解しなければ説明が付かない。

  このように、本願商標は、①前段と後段を分けることなくあくまで一連に書した態様であること、②全体としてまとまった特定の意味合いを観念させるものであり、分断して発音すべき理由がないこと、③「おいしい」(オイシイ)の部分も「健康」(ケンコウ)の部分も軽重の差なく称呼できること、④「おいしい」の部分は前段部分にあり、称呼上重要な位置を占め、この部分を省略して発音することはあり得ないと考えられること、⑤全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいこと、それ故、一連に称呼するのが自然であると考えられること、⑥果実飲料等の分野において、「おいしい」の言葉と他の「仲間」とか「ステーション」とかの言葉との結合商標である場合には、あくまで全体として一つの商標と捉えて登録されている例があること、等の理由から、本願商標はあくまで「オイシイケンコウ」とのみ称呼されるものと思料する。

 そこで、本願商標の称呼である「オイシイケンコウ」と引用商標の称呼である「ケンコウ」とを対比すると、「オイシイ」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調が全く異なり明確に識別できるものと考えるので、両者は称呼上も相紛れることのない非類似の商標であると考える。

(5) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。

 よって、本願商標は補正によって限定した第29類であろうと第32類であろうと、各引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

 

ケース18 本願商標「DOOM WOOD」×引用商標「DOOM」

1.出願番号  平成9年商標登録願第162804号

2.商  標   「DOOM WOOD」

3.商品区分  第36類:建物の管理,建物の売買

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由 「DOOM WOOD」は「FUKUOKA/DOOM」に類似する。

6.意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、登録第3055198号(商公平06-078232号)の商標(以下、「引用商標1」という)、及び登録第4210449号の商標(以下、「引用商標2」という)と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、上段に描いた山形横三本の図形と、下段に横書きした「DOME WOOD」の欧文字からなるものである。

 これに対し、引用商標1及び2は同一の商標で、共に「DOME」(Dを大きく書している)の欧文字と、その「OME」の上に小さく書した「FUKUOKA」の欧文字とからなるものである。

 したがって、本願商標と引用商標1,2とは、外観上類似しないことは明らかである。

(3)  また、本願商標の欧文字部分である「DOME WOOD」は、「DOME」の文字と「WOOD」の文字との間にやや間隔を開けてはいるが、左右4文字ずつバランス良く同書・同大に配したもので、その態様より、「ドーム木材」とか、「丸屋根(用の)木材」とか、「丸屋根状の木材」とかの観念を生じさせるものである。つまり、本願商標中の「DOME WOOD」の言葉は、指定役務第36類「建物の管理,建物の売買」との関係にあって、取引対象となる建物の形状や原材料名を暗示する言葉を巧みに組み合わせて一つの観念を生じさせるようにしたものであり、「DOME」の言葉のみが単独で識別され且つ観念されるようなことはない。本願商標の下段部分は、あくまで「DOME WOOD」で1つの商標であり、左右分断されて認識されるものではない(なお、左右の文字間に間隔を開けて配されたものでも一体の商標として把握されている商標は、例示するまでもなく枚挙にいとまが無い)。

 これに対し、引用商標は、地名の九州「福岡」を表す「FUKUOKA」の文字と「DOME」の文字とを組み合わせて、「福岡ドーム(球場)」を観念させるようにしたことは明らかで、この商標を見た取引者・需用者は、福岡ドームの関係者であるとの認識を持つものと思われる。つまり、この引用商標1,2から生じる観念は、あくまで「福岡ドーム」であって、単なる「ドーム/DOME」ではない。ところで、引用商標1,2は「DOME」の文字が大きく書されていることから、仮にこれより「DOME」のみを取り出して観念されるようなことがあったとしても、それはあくまで「ドーム」とか「丸屋根」であって、本願商標のような前記観念、即ち「ドーム木材」とか、「丸屋根(用の)木材」とか、「丸屋根状の木材」とかの観念を生じさせるものではない。

 よって、本願商標と引用商標1,2とは、観念上も紛れることのない、非類似の商標である。

(4)  そこで、次に称呼の点につき検討するに、本願商標の文字部分である「DOME WOOD」は、全体が左右軽重の差なく同書・同大の欧文字でバランス良く配置され、かつ上述の如く全体として一つの意味合いを生じさせるものであるから、常に一連に称呼するのが自然であり、「ドームウッド」とのみ称呼されるものと思料する。

 この点、審査官殿は、本願商標中の「DOME WOOD」の部分を分断して、「DOME」のみに着目し、単に「ドーム」の称呼をも生じ得るとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察するが、その認定はおかしい。一つの観念を生じ、且つ左右バランス良く配置され、称呼的にも全体として決して冗長にならず、一連に称呼して称呼しやすい「ドームウッド」を何故に左右分断して称呼しなければならないのか、その理由は見つからない。本願商標を見た取引者・需用者が、「DOME WOOD」の文字を見て、単に「ドーム」と認識し称呼するとは到底考えられない。不自然である。

 例えば、「TOKYO DOME」の文字を見て、単に「ドーム」と称呼するだろうか、また、「NAGOYA DOME」の文字を見て、単に「ドーム」と称呼するだろうか。「ドーム」とのみ称呼した場合には、どこのドームだか分からないのであり、識別するために前者は「東京ドーム」、後者は「名古屋ドーム」と称呼するのは当然であろう。

 常に一連に称呼されるからこそ、引用商標1,2が存在しながらも、同じ36類の役務を指定した引用商標1,2の後願に係る、

 ①「VLANDOME/ぶらんどーむ一番町」(登録第3310246号:第1号証)や、

 ②「ナゴヤドーム」(登録第3335920号:第2号証)や、

 ③「ND/ナゴヤドーム」(登録第4093818号:第3号証)や、

 ④「NAGOYA DOME」(登録第4093819号:第4号証)が、登録されているのである。

  引用商標1,2の「FUKUOKA DOME」から「ドーム」の称呼が生じ、これら①②③④の商標から、「ドーム」の称呼が生じるなどと言う認定を仮にこれに携わった審査官がしていたならば、これらの商標の併存はあり得ないはずであるが、併存しているのは厳然たる事実であるので、そのような認定はなされなかったこと明らかである。

  ところで、仮に引用商標1,2から「DOME」の文字部分をとらえて「ドーム」の称呼が生じたとしよう。しかし、もしそうだとしても、本願商標の文字部分「DOME WOOD」からは「ドームウッド」の称呼のみが生じる故、両者は称呼上類似することはない。

 このことは、次の審査事実からも言い得る。

 即ち、第36類の指定役務分野において、「○○○ WOOD」ないし「○○○ウッド」という商標が多数登録されているが、これらの商標に対し、前段の「○○○」部分を同じくする商標も多数登録されている。

  例えば、

 ⑤第3128134号「SKY」            スカイコート㈱

 ⑥第3177742号「SKY WOOD/スカイウッド」 高杉建設㈱

 ⑦第3017149号「OAK」            大林不動産㈱

 ⑧第4100852号「OAKWOOD」   アール・アンド・ビー・リアルティー・グループ

 ⑨第3124659号「ROYAL WOOD」      ロイヤルハウス㈱

 ⑩第3293353号「ROYAL」           ㈱池田都市開発

 ⑪第3342063号「シェル」  シェル・インターナショナル・ペトロリウム・カムパニー・リミテッド

 ⑫第4143218号「シェルウッド」         ナイス日榮㈱

 ⑬第4024749号「サン」             ㈱あさひ銀行

 ⑭第4037527号「サンウッド」          スズキ㈱

 ⑮第3177743号「LAKE WOOD/レイクウッド」 高杉建設㈱

 ⑯第3165394号「LAKE」            ㈱レイク

  このうち、⑤と⑥、⑦と⑧、⑨と⑩、⑪と⑫、⑬と⑭、⑮と⑯の登録商標に着目していただければ分かるように、「WOOD」や「ウッド」の文字部分を排除して、類否判断をしているわけではないのである。

 これらの商標の存在は、「○○○ WOOD」や「○○○ウッド」の商標を全体として観察し、分断できない商標と認識しなかったならば説明がつかない。本願商標も同様である。

 そこで、本願商標の称呼である「ドームウッド」と引用商標1,2の称呼である「フクオカドーム」(仮に「ドーム」の称呼が生じるとしても)の称呼とを対比すると、「ウッド」の称呼の有無によって、両者は語感語調が全く異なり明確に識別できることから、両者は称呼上も相紛れることのない非類似の商標であることは明らかである。

(5) 以上のように、本願商標と引用商標1,2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。

 よって、本願商標は引用商標1,2の存在如何にかかわらず、充分登録適格性を有するものと思料します。

 

ケース19 本願商標「秘文/SAFE」×引用商標「S....

1.出願番号  平成10年商標登録願第70796号

2.商  標   「秘文/SAFE」

3.商品区分  第9類:電子応用機械器具及びその部品ほか

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由 「秘文/SAFE」は「S....」に類似する。

6.意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、登録第2450150号(商公平03-117756号)の商標(以下、引用商標という)と類似であり、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、登録を受けることは出来ないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であると思料するので、斯かる認定に承服できず、以下に意見を申し述べる。 

(2) まず、本願商標は、漢字の「秘文」と英文字の「SAFE」とをスラッシュ「/」を挟んで左右に書し、「秘文/SAFE」と横書きして成るものである。

 これに対し、引用商標は英文字でドット(.)を伴って「S....」と横書きして成るものである。

 したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似することはない。

(3) また、観念の点についてみると、本願商標の「秘文/SAFE」は、「秘密文書」を観念させるような造語の「秘文」と「安全である」ことを意味する「SAFE」とから成るもので、全体として「秘密文書が安全である」「秘密文書が安全に保たれる」程の意味合いを観念させるものである。

 これに対し、引用商標の「S....」は、何らかの単語の頭文字をとって横に並べたものと思料されるが、全体として何の意味も有しない商標である。

 したがって、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することはない。

(4) そこで、以下、称呼の点につき検討する。

(4-1)

 本願商標は、前述したように、漢字と英文字で「秘文/SAFE」と書した態様ではあっても、全体として「秘密文書が安全である」「秘密文書が安全に保たれる」と言うような一つのまとまった観念を生じさせるものであるから、各語が互いに緊密な関係にあり、したがって、本願商標は両者分断されることなく一連に「ヒブン・セーフ」(2音節)或いは「ヒブン・セイフ」(2音節)とのみ称呼されるものと思料する。

 そして、仮に、本願商標が分断されて称呼される場合があったとしても、本願商標構成における「SAFE」の位置付けを考えると、「秘文」の文字をとらえて単に「ヒブン」と称呼されることはあっても、「SAFE」のみをとらえて、これ単独で「セーフ」ないし「セイフ」と称呼されるようなことはないと思料する。なぜなら、「SAFE」の位置付けは、造語である「秘文」の文字との関係から言って、あくまでもその「秘文」の文字を修飾し、「それが安全である」程の意味付けを与えるに過ぎないからである。

 つまり、「SAFE」はあくまでも「秘文」の言葉を修飾する言葉であって、決して「秘文」と同格ではなく、それ単独では識別標識としての機能を発揮するものではないと思料する(その意味で、「SAFE」は品質表示的な意味合いを有する言葉である。引用商標が登録されたのは、「S.A.F.E.」と表示したからであって、ドット(.)を取り除いて「SAFE」と表示したならば、登録されたかどうか甚だ疑問である。現実にも単独の「SAFE」が登録された例は、この商品分野において見あたらなかった)。

 このように、本願商標は、「秘文」の文字部分をとらえて単に「ヒブン」と称呼されることはあっても、「SAFE」の部分のみをとらえて、それ単独で「セーフ」ないし「セイフ」と称呼されるようなことはないと思料する。

 よって、いずれにしても、本願商標から生ずる称呼は、「ヒブンセーフ」ないし「ヒブンセイフ」、或いは、仮に分断されて称呼されても「ヒブン」であるに過ぎないものと思料する。

(4-2)

 これに対し、引用商標は「S....」と各語にドット(.)を伴って書した態様より、「エス・エー・エフ・イー」と称呼されるのみで、「セーフ」ないし「セイフ」とは称呼されないものと思料する。即ち、ドット(.)を伴って書してある以上、各アルファベットを一音一音区切って読むのは、仮名でも振って無理に「セーフ」ないし「セイフ」と読ませようとでもしない限り常識的なことであり、この引用商標の態様「S....」を以て、「セーフ」とか「セイフ」とか称呼されるとするには些か無理がある。

(4-3)

  そこで、本願商標の称呼である「ヒブンセーフ」「ヒブンセイフ」、「ヒブン」と、引用商標の称呼である「エス・エー・エフ・イー」とを比較すると、両者は明らかに語感語調が異なり、明瞭に識別できるものであるので、称呼上類似することはない。

(4-4)

  なお、前述の通り、本願商標「秘文/SAFE」からは、「セーフ」ないし「セイフ」単独の称呼が生ずることはないと思料するが、仮に「SAFE」の文字部分のみをとらえて、「セーフ」ないし「セイフ」と称呼されたとしても、引用商標の称呼である「エス・エー・エフ・イー」とは、語感語調が全く異なり決して類似することはない。

 また、念のため触れるが、本願商標の「SAFE」の文字部分より、「エスエーエフイー」と言うように読まれることは決してないと思料する。それは、アルファベットをそのまま読まなければ称呼できないような単なる文字の羅列であるならまだしも、前述のように、この文字は「安全な」を意味する英単語としてごくごく親しまれた言葉である。それ故、本願商標から「エスエーエフイー」の称呼が生じ、引用商標の称呼「エス・エー・エフ・イー」と類似するとの判断がもし審査官殿において成されたのだとしたら、それは、本願商標の称呼を誤って認識したことに基づく誤解である。

(5) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も、読み方が全く異なっていて語感語調を著しく異にするため、聴者をして明瞭に区別し得る商標である。

 よって、本願商標と、引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと思料します。

 

ケース20 本願商標「Sanibio/サニバイオ」× 引用商標1「サナバイオ」、2「バイオサニー」

1.出願番号  平成10年商標登録願第96517号

2.商  標   「Sanibio/サニバイオ」

3.商品区分  第1類:微生物を用いてなる油脂分解剤,微生物を用いてなる生ごみ

            分解剤,微生物を用いてなる汚水浄化剤,油脂分解用微生物,

            生ごみ分解用微生物,汚水浄化用微生物

4.適用条文    商標法第4条第1項第11号

5.拒絶理由 「Sanibio/サニバイオ」は「サナバイオ」と「バイオサニー」に類似する。

6.意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は、

 1.登録第2605851号(商公平05-012736号)の商標(以下、引用商標1という)及び

 2. 3.登録第3239380号(商公平08-043147号)の商標(以下、引用商標2という)

と類似し、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、登録を受けることは出来ないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標1,2とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であると思料するので、斯かる認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。 

  なお、指定商品の表示については、本書と同時提出の手続補正書において、ご指摘の線に沿って「微生物を用いてなる油脂分解剤,微生物を用いてなる生ごみ分解剤,微生物を用いてなる汚水浄化剤,油脂分解用微生物,生ごみ分解用微生物,汚水浄化用微生物」に訂正した。

(2)まず、本願商標は、欧文字の「Sanibio」と、片仮名文字の「サニバイオ」とを上下二段に横書きし、「Sanibio/サニバイオ」と二段併記した態様からなるものである。

 これに対し、引用商標1は片仮名文字で「サナバイオ」と横書きしてなり、また、引用商標2は同じく片仮名文字で「バイオサニー」と横書きしてなるものである。

 したがって、本願商標と引用商標1,2とは、外観上類似しないことは明らかである。

(3)次に、観念の点についてみると、本願商標の「Sanibio/サニバイオ」は、本出願人名称「サニクリーン本部」の前2音をとった「Sani/サニ」の文字と、「生物、生物学」を意味する「bio/バイオ」の文字とを一連に連結した何の観念も生じない造語商標である。

 これに対し、引用商標1の「サナバイオ」は、その商標権者の名称である「サナ」の文字と、「生物、生物学」を意味する「bio/バイオ」の文字とを連結して造ったやはり何の観念も生じない造語商標であり、引用商標2の「バイオサニー」は、「生物、生物学」を意味する「バイオ」の文字と、おそらく「日当たりの良い」とか「晴れ渡った」とかを意味する欧文字「SUNNY」の片仮名表記である「サニー」の文字を連結して造った造語商標であって、全体としてはやはり何の観念も生じない商標であると思料する。

 したがって、本願商標と引用商標1,2とは、観念上も類似することはない。

(4)そこで、以下、称呼の点につき検討する。

 本願商標は、「Sanibio/サニバイオ」と書した態様より、唯一「サニバイオ」の称呼を生じるものである。

 これに対し、引用商標1は「サナバイオ」と書した態様より「サナバイオ」の称呼を生じ、引用商標2は「バイオサニー」と書した態様より「バイオサニー」の称呼を生じるものである。

(4-1) まず、本願商標の称呼「サニバイオ」と引用商標1の称呼「サナバイオ」を比較するに、両者は第2音部分において、「ニ」と「ナ」の差異を有する。

 しかして、その差異である「ニ」と「ナ」は同じナ行に属する音で子音「n」を共通にするが、

 ①「ニ」は唇を平たく開き舌の先を下方に向け、前舌面を硬口蓋に近づけて声帯を振動させて発する母音「i(イ)」を有し、一方、「ナ」は口を大きく開けてはっきりと発せられる澄んだ開放音である母音「a(ア)」を有する。そして、この母音「i」と「a」は遠い音であるので、両者は明瞭に聴別できる音である。また、

 ②本願商標と引用商標1とは、共に5音という比較的短い音構成からなり、各音一つひとつが比較的重要な地位を占めるとともに、両者とも殊にその第1音、第2音が比較的強いアクセントを以て発音される音であるので、その2音目の「ニ」と「ナ」の差異は一層明瞭となる。さらに、

 ③本願商標と引用商標1とは、どちらかというと、共に「サニ・バイオ」、「サナ・バイオ」というように二音節に区切って発音される傾向にあり、音節の区切りに位置する第2音の「ニ」と「ナ」とは、聴者が注意を引きやすい部分の音であり、両者の称呼上の差異を一層強調することとなる。

  このように、本願商標の第2音「ニ」と引用商標1の第2音「ナ」の差異は、全体の称呼に与える影響が極めて大きく、本願商標「サニバイオ」と引用商標1「サナバイオ」とは明瞭に聴別できるものであって、決して類似するものではないと思料する。

  この点に関して、例えば、以下のような商標の登録併存例が存在する。

   838483号登録商標「SANICREAN」オルガノ㈱

  1375833号登録商標「サナクリン」㈱三和化学研学所

  2468184号登録商標「サニクリーン」オルガノ㈱

  2513899号登録商標「サナゾール/SANAZOLE㈱京都健康科学研究所

  2621284号登録商標「SANISOL/サニゾール」……第一工業製薬㈱

  これらの商標はいずれも、第2音目の「ニ」と「ナ」の違いにより、非類似の商標と判断されて、登録された例である。

  そして、本願商標と引用商標1との関係もこれらと同様の関係であるので、本願商標もこれらの登録例と同様に登録されてしかるべきである。

(4-2)  次に、本願商標の称呼「サニバイオ」と引用商標2の称呼「バイオサニー」を比較するに、両者共に、「サニ・バイオ」、「バイオ・サニー」というように2音節に区切って発音される傾向にあるとともに、その前段と後段を入れ替えた関係にあることから、審査官殿は、両商標は取引者・需用者にとって同一出所を観念させ、称呼的にも紛らわしいとの判断をしたのではないかと推察するが、前述したように、両商標とも造語商標であって、この語順で一つの商標を形成するものであるので、両者は決して類似するものではないと思料する。

 このことは、例えば、前段と後段が逆になっている商標が以下の通り、共に登録されていることからも言い得る。

  2384859号登録商標「バイオフレッシュ/BIO FRESH千寿製薬㈱

  2452210号登録商標「フレッシュバイオ/FRESHBIO オイレック㈱

  1632945号登録商標「バイオクリン」………クミアイ化学工業㈱

  2000092号登録商標「クリンバイオ」………タイホー工業㈱

  1950219号登録商標「バイオドクター」エスシージョンソンアンドサンインコポレーテッド

  4142304号登録商標「ドクターバイオ」バイオケム工業㈱

 なお、「バイオ/bio」の部分が品質表示だから、「サニ」とか「サニー」の部分に要部があり、両者類似するとの判断が今回為されたということも考えられなくもないが、「バイオ/bio」の文字も要部を構成し得ることは、以下のような商標が併存していることからも言い得ることであるので、そのような理由は成り立たないであろう。

  2102354号登録商標「サン/SAN」…………………三洋化成工業㈱

  2539325号登録商標「サンバイオ/SUNBIO」横浜ゴム㈱

  2447495号登録商標「ワールドバイオ/WORLDBIO三菱マテリアル㈱

  2696308号登録商標「ワールド/WORLD」………ライオン㈱

   745713号登録商標「サンライフ」…………日華化学㈱

  4198563号登録商標「サンライフバイオ」サンライフ科学㈱

  2511991号登録商標「ダブル/DOUBLE」ライオン㈱

  4144647号登録商標「ダブルバイオ」……………(有)歩商事

  2622367号登録商標「PURE/ピュア」柳瀬ワイチ㈱

  3238973号登録商標「ピュアバイオ」………佐藤道路㈱

 これらの商標は、「バイオ/bio」の文字が要部を構成すると判断されたからこそ、あるいは、「バイオ/bio」の文字も含めた全体として要部を構成すると判断されたからこそ、併存したのである。

 したがって、本願商標と引用商標2とは、要部が「サニ」と「サニー」のみであるから両者類似するとの主張も成り立つ余地はないであろう。

 以上の通り、本願商標と引用商標2も外観・称呼及び観念において類似することのない非類似の商標である。

(5)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も、5音という短い音構成にあって、アクセントのある部分である第2音に母音の遠い音である「ニ」と「ナ」の違いがあったり、前段後段の逆転があってこの場合の登録併存例は数多く存在することから、これらの差異が全体の称呼に及ぼす影響は極めて大きく、これらを一連に称呼するときはその語感語調を著しく異にし、聴者をして明らかに区別し得るものと思料する。

 よって、本願商標と、引用商標1,2とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと思料します。

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*以上参考までに実例を挙げて見ました。これらは、全てこの意見書により、審査官の考えを変えさせ、登録にもっていったケースです。

  審査官も考え違いをしている場合がありますし、取引の実情から全く懸け離れたような判断を下す場合もあります。従って、納得できなければこのように積極的に反論すべきです。審査官も正当な理由があると認めれば(「なるほどな」と思わせれば)、考えを改めるはずです。                                      

 なお、この中には審判のケース、即ち、審査官の認定は不当であったとして審判官がその判断を覆し、登録を認めたケースも含まれています。

 

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